東京都の介護事情は、実は地方よりも深刻な問題を抱えていると言われています。例えば東京都内の待機高齢者問題です。平成25年を例に挙げますが、当時の特別養護老人ホームの待機高齢者は全国で52万人。そのうち東京都の待機高齢者はおよそ4万人とトップクラスです。特に、特別養護老人ホームの対象者とならない要介護2以下の高齢者が多く見受けられ、他の都道府県と比較すると多くの待機高齢者を抱えている状態なのです。だからと言って全ての高齢者が自宅で介護ができるというわけではないため、介護の問題に悩んでいる家庭の数も比例して多い状態だとされています。
例えば、要介護度が低くても認知症などの問題で、自宅で生活している高齢者の多くは独居または高齢の夫婦世帯が多く、夫婦世帯の場合は老々介護を余儀なくされているところも少なくありません。東京都は特に独居または老夫婦だけの世帯が多く、そのような世帯向けの住宅も増えていることから孤独死や老々介護が問題視されている傾向がみられています。
これらの問題を解消するために訪問介護のサービスや有料老人ホームなどの介護サービスの拡大が検討されているものの、介護職員の慢性的な人材不足から十分なサービス提供がされていないという実例もあるようです。
東京都の介護施設や事業所は非常に多く、収入面でも他の都道府県よりも高い水準となっています。ただ、増えすぎた施設や事業所間での人材の奪い合いや良い条件の他業種に流れる人材が多く、人材不足が益々深刻化しているとされています。このように東京都ならではの事情から東京都では多くの介護の問題を抱えているのです。